亜鉛メッキ付配管用炭素鋼管(SGP) (俗称:白ガス管) JIS規格番号 G 3452
一般配管用
炭素鋼炭素鋼とは、(carbon steel)、鉄(元素記号:Fe)と炭素(元素記号:C)が合わさった合金です。 炭素鋼は、炭素の含有量が、最低で0.02%から最大で2.14%まで含有されている合金の事を指します。 鉄鋼材料としては、最も一般的に広く利用されている材料であり、普通鋼とも言われております。 炭素鋼は、焼入れ・焼戻し・焼なまし・焼ならしなどの熱処理を施すことによって、 耐力・引張強さ・伸び・絞り・硬さなどの性質を大幅に改良・改善することができます。管です。 内外面に
亜鉛めっき溶融亜鉛メッキは、塗装された状態とは違い、鉄と亜鉛が反応し、 完全な合金層を形成して皮膜を作るため、密着性に優れています。 また、通常の装飾仕様の電気めっきよりも、皮膜層が厚く、耐食性があります。処理を施してあるため防食性があり、 使用圧力の比較的低い蒸気・水(上水道用を除く)・油・ガス・空気などを、 流す一般建築設備配管用などの用途に多く用いられます。 (白っぽく見えるため単に、白管 又は、白 と呼称します。)
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主な使用用途
- 屋内消火栓配管用
- スプリンクラー等の屋内散水設備配管及び泡消化配管用
- 一般ガス配管用
- コンプレッサー等からの圧力のかかった空気を各設備へ行き渡らせるための一般エアー配管用もしくは一般空調配管用
- 各種機械設備の流体を流すための配管もしくは、構造上の一部品
- 配線等の保護を目的とした被覆配管用
- 手すり・さく等の構造部材用
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図面等の中での表字のされ方
配管図の材料表などで、SGP(通称、ガス管)の黒管(亜鉛メッキなし)を区別する必要がある場合に、 記号の後に”-ZN”を付記して区別している場合があります。
( 白管 = SGP-ZN )
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対応圧力
2.5MPa(メガパスカル)以下の水圧試験に耐え、漏れが確認される事がない耐久性をもっております。
※2.5MPa = 約25kgf/cm2)です。
但し、一般的に比較的低い圧力(1.0MPa(10kgf/cm2以下の環境下)での使用を推奨いたします。
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使用温度範囲
約-15~350℃が目安です。
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外径と厚み(肉厚)の寸法許容差
詳しくは「鋼管の仕上げ方法」を御覧ください。
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強度
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引張強さ |
伸び率 |
SGP |
290N/mm2以上 |
約27% |
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化学成分の構成
SGPは使用圧力の比較的低い条件下での使用を前提としている配管なので、 JIS(日本工業規格)においても機械的性質や化学成分などはあまり詳細な規定はありません。(但し、引張強さや伸び率等の強度的な性質に関しては基準値がありまた、主成分であるFe(鉄)以外に化学成分として、P(リン)及びS(硫黄)C(炭素:カーボン)・Si(ケイ素:シリコン)・Mn(マンガン)と合わせて、鉄鋼5元素と呼ばれています。 Si(ケイ素:シリコン)・Mn(マンガン)は、鋼中の有害物質の除去を目的として製鋼時に添加される元素です。それに対してP(リン)およびS(硫黄)は鉄鋼材料に対しては有害元素であるため、 含有量はできるだけ少ないほうが望ましいとされています。 P(リン)は鉄鋼材料の耐久性が突然低下して破損するという「遅れ破壊」を誘発したり、 低温で使用する際にぜい弱性をもたらす性質があるとされます。 一方S(硫黄)は逆に、鉄鋼材料を高温で使用する際に、ぜい弱性をもたらす性質があるとされます。 そのため、JIS規格では、これらP(リン)及びS(硫黄)の含有比率の制約を規定しています。 そして5元素の中で、C(炭素:カーボン)がとくに重要な元素であり、 その鉄鋼材料の強度(硬さ)や靭性[*1](じんせい)に及ぼす影響が大きいとされています。 そのため、C(炭素:カーボン)の含有量が鉄鋼材料を分類する場合のひとつの区分けとなっています。
[*1]靭性とは?
物質のもつ粘り強さの事で、破損に至るまでの抵抗性(進みにくさ)をいいます。が0.04%以下というような規定があります。)
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製造方法
詳細は「鋼管の製造方法」を御覧ください。
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仕上方法を表す記号
- 熱間仕上げ(H)
- 冷間仕上げ(C)
- 熱間仕上げ・冷間仕上げ以外(G)
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SGPのパイプの製品表示は、上記の記号を組み合わせて使い、以下のように表示されます。
熱間仕上・冷間仕上以外の電気抵抗溶接鋼管(電縫鋼管) -E-G
熱間仕上電気抵抗溶接鋼管-E-H
冷間仕上電気抵抗溶接鋼管-E-C
鍛接鋼管-B
詳しくは「鋼管の仕上げ方法」を御覧ください。
亜鉛メッキなし配管用炭素鋼管(SGP) (俗称:黒ガス管) JIS規格番号 G 3452
一般配管用炭素鋼管で、内外面とも亜鉛めっきを施さない管の総称。使用圧力の比較的低い蒸気・水・油・ガス・空気などを、流す用途に用いられます。表面は酸化皮膜(黒錆)で覆われているため黒っぽく見えます。(単に、黒管 又は、黒 とも呼ばれています。)
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製造方法
鍛接 又は、電気抵抗溶接によって製造します。
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主な使用用途
圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG) JIS規格番号 G 3454
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概要
350℃程度以下で使用する圧力配管に用いる炭素鋼鋼管について。(※SGP配管用炭素鋼管と同様、亜鉛めっきの有無により、それぞれ黒管と白管とがあります。)比較的高い圧力(10MPa(100kgf/cm2)以下)の水・空気・蒸気・油・ガス等の流体を流す用途で使用されます。使用温度範囲は-15~350℃です。
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主な使用用途
- 石油精製、石油化学、化学工業における各種装置・施設間を輸送するラインパイプ配管用
- 船舶用配管用
- 高圧ガス配管用等
- ボイラー用鋼管
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管の厚さ(肉厚)の表記方法
Schという表記名を使い、肉厚の厚さを区分します。管径が50Aの場合、管径表はこちら。表記は、50A×Sch80 (又は2B×Sch80 )になり、Schの読みは「スケジュール」です。このスケジュール番号が大きいほど、肉厚は厚くなります。また、各管径ごとのSch番号に対応する肉厚(mm)が決められています。(※管径や、圧力管の種類によって、取り扱っていないスケジュール番号もあります。ご確認下さい。)
→Sch肉厚表はこちらです。
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圧力配管用炭素鋼管の種類
強度レベルにより、
STPG370
STPG410
の2種類があります。 主な違いはカーボン(炭素:C)
■カーボン(炭素:C)の含有比率の違いによる炭素鋼の機械的性質の特徴
炭素鋼は一般にカーボン含有量が多くなると、引張り強さや硬さの強度が増しますが その反面、伸びや絞りといった応力が減少します。(切削性も低下します。)
■低炭素鋼(C含有量:0.3%以下)の場合
中・高炭素鋼に比べ、破壊に要するエネルギーが小さいです。 従って、切削性、冷間加工性(プレス・押出し・転造加工等)、溶接性に適しています。
■中炭素鋼(C含有量:0.3%を超え0.7%未満)の場合
加工性は、低炭素鋼よりやや劣りますが、焼入れ・焼戻しを行うことで 強度及び靭性(ねばり強さ)を兼ね備えた強靭性が得られます。
■高炭素鋼(C含有量:0.7%以上)の場合
焼入れ硬化性が低炭素鋼・中炭素鋼より更に大きくなるため、工具類の材料などとして使用されます。
(※炭素含有量(C含有量)1%以上の鋼は炭素工具鋼(SK材)として扱われています。)の含有比率が異なります。 これにより機械的性質が変わります。
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カーボン含有率 |
引張強さ |
耐力 |
伸び率 |
STPG370 |
0.25%以下 |
370N/mm2以上 |
215N/mm2以上 |
約27% |
STPG410 |
0.30%以下 |
410N/mm2以上 |
245N/mm2以上 |
約22% |
※伸び率は、各方向に対しての平均値で表示しています。
※N/mm2(ニュートン毎平方ミリメートル) とは、
例:370N/mm2=1平方センチメートル(1センチ角)の範囲において、3700kgの荷重に耐えられます。
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管の厚み(肉厚)による水圧試験の基準値(JIS規定)
Sch40 6.0MPa(約60kgf/cm2です。)
Sch80 12MPa(約120kgf/cm2です。)
鋼管の製造方法によっての対応圧力の違いはありません。
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通常安全率を考慮した、最高使用圧力の計算式
(引張強さ÷4) ÷ (1000÷Sch番号) = 最高使用圧力
引張強さとは許容応力のことで、4は通常安全率となります。(※設計者によって、変化する場合があります。)
例:STPG370 Sch40 の場合の最高使用圧力は、
(370÷4)÷(1000÷80)=92.5÷12.5=7.392(Mpa)
となります。
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鋼管の製造方法・仕上方法を表す記号にはそれぞれ以下が用いられます。
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製造方法
- 継目無し(シームレス鋼管)(S)
- 電気抵抗溶接(電縫鋼管)(E)
詳細は「鋼管の製造方法」を御覧ください。
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仕上方法を表す記号
- 熱間仕上げ(H)
- 冷間仕上げ(C)
- 熱間仕上げ・冷間仕上げ以外(G)
詳細は「鋼管の仕上げ方法」を御覧ください。
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メッキ処理の有無を表す記号
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STPG370・STPG410のパイプの製品表示は、上記の記号を組み合わせて使い、以下のように表示されます。
- 熱間仕上継目無鋼管(熱間仕上シームレスパイプ) -S-H
- 冷間仕上継目無鋼管(冷間仕上シームレスパイプ) -S-C
- 熱間仕上・冷間仕上以外の電気抵抗溶接鋼管(電縫鋼管) -E-G
- 熱間仕上電気抵抗溶接鋼管(熱間仕上電縫鋼管) -E-H
- 冷間仕上電気抵抗溶接鋼管(冷間仕上電縫鋼管) -E-C
例:冷間仕上継目無鋼管STPG370 の場合 : STPT370-S-C
高温配管用炭素鋼管(STPT) JIS規格番号 G 3456
高温配管用炭素鋼管は、使用温度350℃以上450℃以下という高温の流体を流す環境下での配管に用いられる鋼管です。
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主な使用用途
- ボイラーの主管に用いる配管
- 石油化学工業に使われる高温流体を流す配管等
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管の径の大きさと、その厚さ(肉厚)の表記方法
Schという表記名を使い、肉厚の厚さを区分します。
例:50A×Sch80 (又は2B×Sch80 )
※Schの読みは「スケジュール」です。
また、各管径ごとのSch番号に対応する肉厚(mm)が決められています。
→Sch肉厚表はこちらです。
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高温配管用炭素鋼管の種類
強度レベルにより、
STPT370
STPT410
STPT480
の3種類があります。 主な違いはカーボン(炭素:C)の含有比率が異なります。 これにより機械的性質が変わります。
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カーボン含有率 |
引張強さ |
耐力 |
伸び率 |
STPG370 |
0.25%以下 |
370N/mm2以上 |
215N/mm2以上 |
約27% |
STPG410 |
0.30%以下 |
410N/mm2以上 |
245N/mm2以上 |
約22% |
※伸び率は、各方向に対しての平均値で表示しています。
※N/mm2(ニュートン毎平方ミリメートル) とは、
例:370N/mm2=1平方センチメートル(1センチ角)の範囲において、3700kgの荷重に耐えられます。
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管の厚み(肉厚)による水圧試験の基準値(JIS規定)
Sch40 6.0MPa(約60kgf/cm2です。)
Sch80 12MPa(約120kgf/cm2です。)
Sch160 20MPa(約200kgf/cm3です。)
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鋼管の製造方法・仕上方法を表す記号にはそれぞれ以下が用いられます。
-
製造方法
- 継目無し(シームレス鋼管)(S)
- 電気抵抗溶接(電縫鋼管)(E)
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仕上方法を表す記号
- 熱間仕上げ(H)
- 冷間仕上げ(C)
- 熱間仕上げ・冷間仕上げ以外(G)
-
STPT370・STPT410・STPT480パイプの製品表示は、上記の記号を組み合わせて使い、以下のように表示されます。
- 熱間仕上継目無鋼管(熱間仕上シームレスパイプ) -S-H
- 冷間仕上継目無鋼管(冷間仕上シームレスパイプ) -S-C
- 熱間仕上・冷間仕上以外の電気抵抗溶接鋼管(電縫鋼管) -E-G
- 熱間仕上電気抵抗溶接鋼管(熱間仕上電縫鋼管) -E-H
- 冷間仕上電気抵抗溶接鋼管(冷間仕上電縫鋼管) -E-C
例:冷間仕上継目無鋼管STPT370 の場合 : STPT370-S-C
高圧配管用炭素鋼管(STS) JIS規格番号 G 3455
高圧配管用炭素鋼管は、使用温度350℃以下で、使用圧力が高い配管に用いられる鋼管です。
圧力配管用炭素鋼管(STPG)の範囲を超える高圧で使用される配管に用いられます。
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主な使用用途
- アンモニア合成、メタノール合成工業の高圧配管
- 尿素プラント用高圧配管
- ディーゼル船の燃料噴射管など
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管の径の大きさと、その厚さ(肉厚)の表記方法
Schという表記名を使い、肉厚の厚さを区分します。
例:50A×Sch80 (又は2B×Sch80 )
※Schの読みは「スケジュール」です。
また、各管径ごとのSch番号に対応する肉厚(mm)が決められています。
→Sch肉厚表はこちらです。
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高圧配管用炭素鋼管の種類
強度レベルにより、
STPT370
STPT410
STPT480
の3種類があります。
主な違いはカーボン(炭素:C)の含有比率が異なります。
これにより機械的性質が変わります。
|
カーボン含有率 |
引張強さ |
耐力 |
伸び率 |
STPT370 |
0.25%以下 |
370N/mm2以上 |
215N/mm2以上 |
約27% |
STPT410 |
0.30%以下 |
410N/mm2以上 |
245N/mm2以上 |
約22% |
STPT480 |
0.33%以下 |
480N/mm3以上 |
275N/mm3以上 |
約21% |
※伸び率は、各方向に対しての平均値で表示しています。
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管の厚み(肉厚)による水圧試験の基準値(JIS規定)
Sch40 6.0MPa(約60kgf/cm2です。)
Sch80 12MPa(約120kgf/cm2です。)
Sch160 20MPa(約200kgf/cm3です。)
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鋼管の製造方法・仕上方法を表す記号にはそれぞれ以下が用いられます。
水配管用亜鉛めっき鋼管(SGPW) JIS規格番号 G 3442
水道用及び給水用以外の水配管(空調、消化、排水などをいう)に用いる亜鉛めっき鋼管です。(俗称:水道用白管)同管は、配管用炭素鋼管(SGP)を原管とし、亜鉛めっきを施して耐食性を増した鋼管で、 亜鉛の付着量は配管用炭素鋼管(SGP)の白管より多く付着させてあります。(※平均値で600g/m2以上、最小値で550g/m2以上となっています。) 比較的低圧力の環境下(
静水頭静水頭とは、配水池と圧力測定点との高低差をいい、水が保有するエネルギーを水の高さで表した圧力単位のひとつです。
100Kgf/c㎡以下を基準とした水圧下)で、 上水道以外の空調,消火、排水、工業用水等の水配管に幅広く使用されています。水配管用亜鉛めっき鋼管の記号は、『SGPW』で表されます。
水道用硬質塩化ビニールライニング鋼管
水道用硬質塩化ビニールライニング鋼管(塩ビライニング管)は、原管である配管用炭素鋼管(SGP)に、 樹脂素材の管(JIS K 6741)を挿入し、熱を加えて鋼管の内側に密着させたもので、 管内面の耐食性、耐油性、耐薬品性に優れています。 内面は平滑な硬質塩化ビニール樹脂であるため、摩擦抵抗が小さく、 管内部での流量や流速の変化を最小限に食い止める事が出来ます。 これまでの溶融亜鉛めっき鋼管に代わり、一般家庭用の水道給水配管用としても使われており、 その他、空調冷却水、工業用水用にも使われ、広範囲に使用できます。
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推奨使用温度
管端防食継手防食処理のなされた塩ビライニング管を使用している場合でも、 管の切断端部や接続ねじ部におけるコーティングの不足や不備によって金属が露出したり、 接続されるバルブが異種金属であったりすることなどによる腐食の進行による赤水[*1]防止対策として 継手の内部にプラスチック製のコアを取付け、 接続部周辺を内側から完全に覆うような防食対策を施した継手があります。 (管端防食継手(コア継手)などと呼ばれ、接水部が全て樹脂素材で覆われています。)
また、この様なコア継手を使用しない場合には、 鋼管の露出部分であるねじ部及び端面部に 防食用の液状シール剤を確実に塗布し、ねじ込む事が必要です。 そして内ねじ側のねじ山を残し締込みを止めたり(内ねじの露出状態)、締込み過ぎても(外ねじの露出状態)、 ねじ山の鋼管部が管内にて、露出する形になるため好ましくありません。
[*1]赤水とは?
水道管内部や継手の腐食により錆が水の中 に溶け出す現象。
亜鉛めっき鋼管を使用した管から流れ出す事が多いです。
亜鉛めっき鋼管は内部が亜鉛めっきされており、これにより腐食を防ぎますが、 水の中の酸素や塩素の作用により、そのめっきがなくなり、次第に腐食に至ります。
海外の硬水地域(日本は軟水)では、含まれるカルシウム量が多いため、 それらが水から溶け出し水道管内の表面に付着し、その膜が防食効果をもち 鉄管を使用していても赤水が出ることはほとんどないといいます。使用の場合で0~40℃となっています。
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最高使用圧力
1MPa
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機械的強度
SGP鋼管と同じです。
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外面の皮膜の種類
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VA
外面に一次防錆塗装が施してあり、主に屋内配管用で使われます。(被覆処理を施行後、屋外で使用される場合もあります。)VB管より多少安価な素材です。
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VB
外面に亜鉛メッキが施されており、屋内・外兼用配管用に使われます。
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VD
外面が、硬質塩化ビニール樹脂でおおわれおり、主に屋外や地中埋設用に使われます。また湿度の大きい地下での配管の場合、表面結露による錆の発生をおさえる対策として、 VBを使用して保温材を巻くという施行方法に代わり、 このVD管を使用する事もあります。
配管用ステンレス鋼管
配管用
ステンレス■ステンレスとは
(ステンレスとは、(Stainless Steel)の略称で、(Stainless)はさびにくい、そして(Steel)は鋼のことで、 直訳すると、‘さびにくい鋼’ということになります。) 鉄(Fe)を主成分として、これにクロム(Cr)やニッケル[*1](Ni)を含有させた合金です。 一般的には、クロムを約11%以上含有させた鋼を「ステンレス」と定義しています。 これはクロムが約11%以上になると、さびにくさ[*3](耐食性)が飛躍的に向上する性質から来ています。
[*1]ニッケル(Nickel)とは?
オーステナイト[*2]系ステンレス鋼の基本元素で、耐食性,熱間強度を増す性質があります。
[*2]オーステナイト系とは
ステンレス鋼はその主成分の違いにより、特性が異なり系列分けがされています。その中の一種であり、その名称のひとつです。クロム(Cr)18%にニッケル(Ni)8%という含有比率の 通称「18-8鋼」と呼ばれるSUS304がその代表的なものです。
その他の系列には、
・マルテンサイト系
・フェライト系
・析出硬化系
・オーステナイト・フェライト系(二相系)
とがあり、それぞれ異なった特性を持ち合わせており使用用途はさまざまです。
[*3]錆びにくさの秘密
鉄にクロムが含まれると、それが空気中の酸素と結合して、 鉄の表面に肉眼で見えない保護皮膜が形成されます。 この保護皮膜がサビの進行を防ぐ働きをしています。 そして、この被膜は空気に触れさせておくだけで自然に生成されるものです。 従ってステンレス製品を、ビニール袋などで密閉し保管することは、すなわち 酸化皮膜の形成を妨げる状態にしてしまう事につながるため、避けたほうがよいです。鋼管は、耐食性に優れています。
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特性
他の金属のように塗装やメッキをしなくても、湿気の多いところや、屋外での使用が可能です。 塊からつなぎめなしで作られるシームレス管と、鋼板を管状に巻き、つなぎ目を溶接して作る溶接管があります。 屋内外の給水設備に利用されることもあります。 また熱伝導率が低いため熱を逃がしにくく、保温性に優れています。 また非磁性(磁石につかない)です。
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性質
引張強さ |
耐圧 |
伸び率 |
520N/mm2以上 |
205N/mm2以上 |
約30% |
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配管上の注意点
ステンレス鋼は炭素鋼よりも温度変化による伸び縮み量が大きいので、 施工直後は接続部分からの漏れに注意が必要です。 (締め付けトルクがあまくならないよう留意が必要です。) またねじ込み相手に炭素鋼を使用する場合は電位差腐食(電触)ここでいう電食とは、ガルバニック腐食(異種金属接触腐食)とも称され 異種金属同士を接合すると、それぞれの電極を比較した場合に、電位[*1]の低いほうを陽極(+)、 高いほうを陰極(+)とした「電池」に似た状態が形成され、陽極(+)部に相当する金属表面に 電子の流れをつくりだし、その状態が水や酸素との反応を促す作用を生み結果、腐食する現象をいいます。
そして、2つの金属の電位の差が大きいほど、腐食速度は速くなる傾向があります。
また、この腐食は、特に屋外使用による雨水にさらされた環境であったり、 海水の影響を受ける設置場所や、高湿度な環境下、 又は乾湿を繰り返す状態などで発生し、また、その進行を早めるといわれています。
一般的に、ステンレス、銅、真鍮、鉛、炭素鋼、鋳鉄、亜鉛、の順に 電位は低く(陽極:+)なるといいます。
[*1]電位とは?
物質の電子の放出のしやすさ、あるいは受け取りやすさのことをいいます。
(単位はボルト(V)を用いて表されます。)の可能性も考慮にいれ、 (※炭素鋼管側が腐食腐食とは金属が、それを取巻く環境の成分(酸素や塩素など)と化学反応をおこし、酸化が進み、錆をつくりそれにより徐々に金属としての性能が低下し、使用に耐えられなくなる現象を言います。錆(さび)とは金属の表面にできる腐食生成物のようなものです。金属の置かれた環境や管の材質、管内を流れる液体の化学的性質によって、錆の種類はさまざまですが 最も一般的な錆は空気中の酸素と水(湿気)がある条件下で、 それらが金属との間で化学反応を起こしてできる「酸化物」があげられます。 例えば熱を奪われた蒸気が通るボイラーの還水管の管内は、水と空気が混在しているので 管内が蒸気で飽和している蒸気配管よりも、腐食が発生しやすいといわれます。また、自然界にある多くの金属は、酸化物や硫化物という、 エネルギー的に安定した「鉱石」という形で存在しています。 しかし工業材料として精錬[*1](せいれん)加工された金属は、 この「鉱石」にエネルギーを加えて強制的に還元したものであるため 内部にエネルギーが凝縮された状態であるため、非常に不安定であり、 従ってそのエネルギーは放出したがるという性質をもつため 常にそれらが、酸素など周りの結びつきやすい成分を探し、そして元の安定した状態に戻ろうとするエネルギーが生まれます。これが錆のメカニズムです。
[*1]精錬とは?
金属の純度を高め鋼の成分を調整する事。しやすくなります。) 表面処理(塗装)を施したり、 絶縁継手(絶縁ユニオンや絶縁フランジ等)を介して接続するなどの防錆処置錆を防ぐ(又は、促進を遅らせる)方法は以下になります。
・金属を空気や水と触れさせないようにする。
・サビ止めやペンキなどの塗布処理を施す。
・サビにくい金属でおおうメッキ処理をする。
・表面を安定的な酸化物に変えるアルマイト処理
などの方法があります。も場合によって必要です。なお、腐食の種類は主に、応力腐食曲げられた管の外側の、引っ張られる状態の応力を受けている部分に発生しやすいです。ニッケル(Ni)含有量の多い鋼種を選ぶことが有効です。、孔食(点食)酸化剤の不足や液の酸性度、液の停滞が原因で起こる腐食です。モリブデン(Mo)を含有した鋼種を用いるなどの方法があります。、大気環境腐食とくに工業地帯では亜硫酸ガスが発錆(はっせい)の原因となり、 塩化水素ガスや硫酸のガスが含まれている時はさらに影響は大きくなります。しかし、これらのガスも湿気の少ないところでは害はやわらぎます。 従って材料の表面の粉じんや、ちり、汚れは保水作用により、この湿気を取り込んでしまうため、 よくありません。表面は常に清潔に保つ事が重要になります。、食塩(NaCl)による腐食海岸地方では海水の影響により食塩(NaCl)が付着する可能性が高くこれらは腐食の進行を急速に早めます。食塩(NaCl)に対する耐食効果は、クロム(Cr)やモリブデン(Mo)含有量の高いものほどよいといえます。、粒界腐食オーステナイト系ステンレス鋼の溶接鋼管で起こる可能性のある腐食です。溶接部は結晶粒界(原子配列が乱れた領域)になっており、この溶接部に沿って進行する腐食です。低炭素系の素材を使用したり、継目なし鋼管(シームレス管)を使用するなどの対策があります。があります。
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取扱い材種
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SUS304
オーステナイト系ステンレス鋼(成分含有比率:18Cr-8Ni)最も一般的な用途で広く使われているステンレス配管材です。給水・給湯・排水・冷温水等の配管につかわれ、主として屋内配管で使われます。
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SUS304L
オーステナイト系ステンレス鋼(成分含有比率:18Cr-9Ni-LOW C)304よりカーボン(C)の含有量を少なくしたもので、304の性質に耐粒界腐食性や、応力腐食に対する抵抗性に優れています。
※「L」はローカーボン(低炭素)を表します。
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SUS316
オーステナイト系ステンレス鋼 (成分含有比率:18Cr-10Ni-2Mo)SUS304に耐食性を高めるモリブデン(Mo)を添加したもので、 孔食腐食(穴あき腐食)などの局部的に進行する腐食に対しての対応力があります。そのため海水をはじめ様々な中性塩化物環境下での使用や 化学薬品配管用、工場地帯など塩害や腐食性ガスなどの大気環境下で使われたりします。 またニッケル(Ni)も増量し、 さらに耐食性向上と、耐応力腐食割れ対策をも施してあり、 埋設配管等の悪条件下においても効力を発揮します。
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SUS316L
オーステナイト系ステンレス鋼 (成分含有比率:18Cr-12Ni-2Mo-LOW C)316よりカーボン(C)の含有量を少なくしたもので、316の性質に耐粒界腐食性や、 応力腐食に対する抵抗性に優れています。
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SUS310S
オーステナイト系ステンレス鋼 (成分含有比率:25Cr-20Ni)耐熱性、耐食性に大変優れています。 耐酸化性に優れており、錆に大変強く、また耐熱性にも優れています。耐熱用の保護管として使われたり燃焼装置内の配管、ボイラー配管、等に使用されます。